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即興曲集「春」

Impromtus -Spring-

· Creative Notes

1 天体観測 Astronomical observation - 4:46

凍てつく山頂で目覚めた夜更け。テントから這い出て全天周囲の星空に身を委ねる。無数の恒星に抱かれ刻が止まった。

2 宝石 Jewelries - 9:34

下山の道すがら腰を降ろした岩に、朝陽で煌めく氷のかけらが二つ。内包するバブルはプリズムのような虹を放つ魔法で魅せている。

3 Moss - 5:05

渓谷にある小さな滝に春が訪れていた。脈打つ水竜の腹を新緑の苔がふわふわと撫ぜる。その表面をそっと包むのは滴のベール。

4 雪解け水 Meltwater - 7:53

冬を称えた雪と氷がどっと春を呼ぶ。その証がこの瑞々しい水。掌で受けとめ吸い込むと、ひんやり澄んだ源が全身に浸透した。

5 神殿 Temple - 4:27

如何程の時間を要したのか皆目見当がつかない岩の神殿。幾重にも剥がれ落ちた岩盤の柔肌が自然の摂理を物語っている。

6 羽毛 Feather - 3:52

木の根元に一枚の羽。脱ぎ捨てられたふかふかのダウンに冬の営みを感じた。春の空を飛ぶにはもう重すぎるのだろう。

7 霜柱 Frost columns - 4:26

土を押し退けニョキニョキ生える氷のビル群。ミクロな街はひっそりと逞しく育った末、温もりに身を溶かして生命を宿す。

8 さくら Cherry blossoms - 3:07

童歌の傑作。樹齢2000年とも言われる神木の桜。今年も可憐な花々を纏った老木を代々の祈りが守り伝えている。

9 野鳥観察 Bird watching - 4:31

中腹の山林は多くの巣箱と囀りのサラウンドで賑々しい。伴侶を求める若々しい唄声がひたすら耳に心地良い。サンクチュアリ。

10 月の光 Clair de lune - 3:55

ドビュッシーの傑作。小さな滝壺の大岩に腰掛けると、雲間をすり抜けた望月が煌々と辺りを浮かび上がらせた。神秘な世界。

11 花崗岩 Granite - 3:40

地中深くから立ち昇る巨大な御影。人知を超えた礎は凡ゆる国の栄枯盛衰を支えてきた。マグマと海がもたらす偉大なる尊さよ。

12 玄武岩 Basalt - 4:50

人跡未踏の海嶺で絶えず吹き出す溶岩流。薄く広く何処までも覆う黒液が、脈打つプレートテクトニクスでサーフィンをしている。

13 雲母 Mica - 2:51

剥離するキラが、二次元の世界で手を結び拡がってゆく。積層となった其れは、収まり良く他者を受けとめしなやかに一層輝いた。

14 石英 Quartz - 2:42

六角柱の立体的な連なりは白い砂浜の様。緊密なその姿は強固な純粋さを発し、選ばれし刻の守護として私達の暮らしを支えている。

15 橄欖岩 Olivine - 3:54

厚い地殻のその先に、マントルと呼ばれる国がある。そこで乱舞する灼熱の人々は、地表を訪れると驚き澄んだ緑色に固まった。

(C) (P) 2020 Masashi Motokado, CC0

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