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即興曲集「夏」

Impromptus - Summer -

· Creative Notes

1 梅雨 3:40

降りしきる雨に次ぐ雨。風が暖かいのは救いだが傘はまるで役に立たない。もうシャワーだと割り切れば何だか有り難く思える。

2 水田 4:06

雨上がりの午後、畦道を歩いて野菜を買いに行く。脈打つ水面から勢いよく飛び出す稲穂と陽光が眩い。おにぎりを食べよう。

3 稲穂 5:22

干拓地の傍で生きる稲穂の群れ。アメンボやオタマジャクシと目指すのは、あの幸福に満ちた豊穣の秋。優しい太陽も厳しい風雨も味方だ。

4 夕陽 5:00

西の空で橙の球が沈む。地平線に溜まった雲の中へ。飲み込まれるにつれ蒸発し、空が茜色に染まってゆく。

5 林涼 3:47

サワサワと揺れる林から涼風が届く。肌の湿気が程よく引いてゆく。波の音は今日も眠りを誘う。また明日。

6 クレーター 7:22

まぁるい草原へ着いた。奥深い森と山々に囲まれここだけすっぽり開けている。テントから這い出る様は宇宙飛行士のよう。

7 稜線 7:05

水筒の水をグビグビと飲みながら、山々の尾根づたいに西へ東へと視線を流す。稜線はどこまでも美しい。

8 星々 5:45

鳥達が巣へ帰りテントでは夕飯の支度が済んだ。少しの間、背もたれに頭を預けて新月の夜空を眺めよう。

9 入道雲 5:08

梅雨明け直後の青空に鎮座する巨大な入道雲。山々が奥歯を噛み締めて投げ飛ばそうと試みるがビクともしない。僅かにボヨンと撓んだ。

10 夜霧 4:36

深夜、ふと目覚めるトイレへ向かう。辺りは深い霧に包まれている。ライトの光線をツンと伸ばし、白い世界の向こう側へと歩を進める。

11 スコール 3:31

テントを設営してすぐの事。西方から狂おしい夕立が雄叫びをあげて迫り、雲々は二重三重にぶつかりながら空を駆け抜けていった。

12 水溜り 4:12

夕立が遺したいくつかの水溜りに枝々から滴る雫が跳ねています。鳥達もまた歌い出したようです。光のページェント。

13 梨 4:21

瑞々しい梨をシャリシャリと頬張るのは涼しくていいものです。夏の終わりが近づくのは少し寂しいけれど。もうすぐ秋。

14 焚火 3:28

パチパチシュウと火の粉が爆ぜる。絶やさず繋ぎ育てた炭火へ串に刺したヒレ肉をかざし、ディナータイム。今夜のゲストは地元猫。

15 遠赤外線 5:01

炭火から放射される赤い熱気。宵闇に映えるその揺らめきが、ジンワリと炭の黒肌を白く焦がしてゆく。

(C) (P) 2019 Masashi Motokado, CC0

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